「営業資料をそのまま画面共有したら、文字が小さくて読めないと言われた」。ウェビナー担当になった方から、この相談を本当によく受けます。私は映像制作の現場で20年、対面プレゼンとオンライン配信の両方を見てきましたが、断言できるのは「紙・対面用の資料と配信用スライドは、まったくの別物」だということです。対面なら大きなスクリーンに投影され、参加者は数メートル先から見ています。しかし配信では、視聴者の多くがノートPCやスマホの小さな画面で見ており、さらに映像は圧縮処理を通ります。文字の輪郭や細い線は圧縮でつぶれやすく、対面では問題なかった資料が配信では一気に読めなくなるのです。まず「これは紙の資料の使い回しではなく、配信専用に作り直すもの」という前提に立つことが、資料作りの出発点になります。
1スライド1メッセージを徹底する
配信で最も多い失敗は、情報を詰め込みすぎたスライドです。対面なら指差しながら口頭で補足できますが、配信では視聴者は画面に映っている情報だけで理解する必要があります。伝えたいことが2つ以上あるスライドは、思い切って2枚以上に分割してください。文字サイズも、紙の資料を作る感覚より一段階大きめを目安にしましょう。本文の文字ですら「少し大きすぎるかな」と感じるくらいがちょうどよく、作成後は必ずスマホの画面で実際に表示させて、読めるかどうかを自分の目で確認する習慣をつけてください。パソコンの大きな画面で作業していると、小さい文字でも作り手には読めてしまうため、視聴者との感覚のずれに気づきにくいのです。
色とコントラスト、罫線・表の落とし穴
薄いグレーの文字や淡い配色は、配信の圧縮処理を経ると輪郭がにじんで消えてしまうことがあります。背景と文字のコントラストは、対面用の資料よりもはっきり強めに設定してください。同じ理由で、細い罫線や小さな文字がびっしり並んだ表も危険です。特にExcelからそのままコピーして貼り付けた表は、行間も文字サイズも紙の書類向けのままなので、配信の圧縮を通るとほぼ読めなくなります。見せたい数字だけを抜き出し、行数を絞ったうえで大きな文字で作り直す一手間が必要です。
ワイプとアニメーションへの配慮
配信では画面の隅に登壇者のワイプ映像が乗ることが多く、そこに重要な数字やグラフの結論を置いてしまうと、本番で肝心の部分が隠れて見えなくなります。レイアウトを組む段階から、画面の隅の一角は空けておく前提でデザインしておきましょう。またアニメーションやスライドの切り替え効果も、配信の圧縮環境ではカクついたり、コマ落ちして見えたりすることがあるため、使うとしても最小限にとどめるのが無難です。凝った演出よりも、確実に情報が伝わることを優先してください。
進行との連動でスムーズな切り替えを
複数人で進行する配信では、スライド番号を進行表の項目番号と揃えておくと効果的です。台本に「スライド5番で次の話者へ」と書いておけば、本番中に「次は何番に飛ばせばいいか」と迷うことがなくなり、切り替え指示も正確に出せます。番号がずれていると、登壇者と操作担当の間で確認のやり取りが発生し、そのぶん配信のテンポが崩れてしまいます。台本と資料を別々の担当者が作っている場合は、直前の修正で番号がずれやすいので、最終稿を突き合わせるタイミングを決めておくと安心です。
配信前の実機確認を欠かさない
最後に欠かせないのが、本番と同じ配信画質での試写です。手元のパソコン画面では綺麗に見えても、実際に配信されたときの見え方はまったくの別物になります。小さな表の数字が読めず「後で資料をください」というコメントが相次いだり、登壇者のワイプで肝心のグラフや数字が隠れてしまったりする失敗は、事前に一度でも試写していれば防げたケースがほとんどです。本番直前ではなく、余裕を持ったタイミングで、実際の配信環境に近い形で見え方を確認しておくことを強くおすすめします。
配信用スライドの作り直しやチェックにお困りの際は、お気軽にお問い合わせください。
