「アクセスが集中して、当日どうしても見られなくなる人が出たらどうしよう」。数千人、数万人規模の視聴者を見込む配信を任された担当者から、この不安を最初に聞くことがほとんどです。実は、映像を送り出す仕組み自体は視聴者が10人でも1万人でも大きくは変わりません。変わるのは、その映像を一人ひとりの画面まで届ける「配布」の部分です。エンコードして送り出すのは1本でも、それを何万本にも複製して配る容量、いわゆるCDNの能力が足りなければ、画面はいつまでも回り続けます。まずこの「送出」と「配布」が別問題だと理解しておくことが、設計の出発点になります。
大手プラットフォームがまず候補になる理由
数万人規模の同時視聴が見込まれる場合、YouTubeなど大手動画プラットフォームがまず有力な選択肢になります。理由は単純で、世界中に配布用のインフラをすでに持っているからです。自社で数万人分の配布容量を用意しようとすると、費用も技術的な準備も相当な規模になります。それを丸ごと借りられるのが大手プラットフォームの強みです。限定公開設定やドメイン埋め込みで、一般公開っぽさを抑えることもできます。
自社サイトで完結させたい場合の考え方
ブランド上の理由やセキュリティ要件で自社サイト内に視聴ページを置きたい場合は、企業向けの配信プラットフォームやCDNサービスを組み合わせる形になります。この場合は、想定同時視聴数に対してCDNの帯域と配信ノード数が十分かを事前に確認し、契約段階で明示しておく必要があります。ここは技術要件が絡むため、社内エンジニアや配信会社と一緒に詰めるべき領域です。
社内向け配信で起きる「回線の詰まり」
全社員向けの発表会など、視聴者が同じオフィス回線に集中する配信では、外部のCDNとは別の問題が起きます。同じ拠点の数百人が一斉に視聴すると、社内ネットワークそのものが詰まってしまうのです。対策としては、拠点ごとにキャッシュを置くeCDNの仕組みや、部署ごとに視聴開始時間をずらす分散案内が使われます。これは配信会社任せにできない、社内IT部門との連携が必須の部分です。
視聴ページ・当日運営・バックアップまでを設計する
見落とされがちですが、視聴URLを案内するページ自体が集中アクセスで落ちることがあります。案内ページは配信本体とは別に、静的で軽い作りにしておくと安全です。開始直前は駆け込みアクセスが集中しやすいため、早めの入室誘導と、開始前に流す待機コンテンツを用意しておくと集中を和らげられます。またリハーサルは少人数でしか行えないことが多く、本番と同じ負荷は再現しきれません。だからこそ本番中は視聴数とエラー率をリアルタイムで監視し、問い合わせ窓口も普段より増員しておく体制が要になります。メインが落ちた場合の代替URLを事前告知に含めておくことも保険になります。費用は利用するプラットフォームの規模や人員体制によって幅がありますが、視聴規模に応じた見積もりを早めに取っておくのが安心です。実際に、社内回線の詰まりで本社だけ視聴できなくなった例や、案内ページがダウンして問い合わせが殺到した例もあります。事前の設計と当日体制の両方を押さえておくことが、大規模配信を成功させる鍵になります。
配信規模やインフラ選定でお悩みの際は、お気軽にお問い合わせください。
